BCLブーム時、スカイセンサーやクーガ、トライエックスはポータブルラジオとしては高性能を有したものではあったが、
本格的に海外短波を受信しようとするには、足りないものが多々あった。メーカーからはアース棒がセットになった外部アンテナなどが販売されていたが、
それでは片手落ち。松下電器はクーガ2200のリリースと共にアンテナカップラーを、プロシードシリーズの際にはRFアンプ内蔵のカップラーや、
周波数カウンター付きのマーカーなどをシステマチックに構成。販促に取り入れていたが、それはミズホ通信の存在があったからだろう。
例えば本格的にアマチュア無線でHF運用を勤しむ人にとっては、ラジオ本体に直接ロングワイヤアンテナを接続するなどナンセンス・・・
全然電波の性質を理解していない、と「所詮、BCLなど子供騙しのお遊び」と冷笑されたとも聞く。
彼らにとってはカップラー(アンテナチューナ)の介在は当たり前であったし、バンドパスフィルタや外部プリセレクタなどで狙った信号をキャッチするのも珍しいことではなかった。
(特に自作派。当時のアマチュア無線家はこういったことに長けていた)
自身もHAMであった、故・高田継男氏はこれらの「痒い所に手が届く」補器類がBCLにも必要になる・・・との認識から、
プリセレクタやアンテナカップラー、マーカー発振器などをリリース。マニアックなBCLファンから絶大なる支持を受ける。
松下は、これを見て「売れるのならウチもやろう」と追随したものと、私は勝手な邪推をしているが如何なものだろうか?
「ラジオの製作(電波新聞社)」などに掲載されたミズホブランドのコマーシャルを見て、私も胸躍らせた一人である。こういったものを揃えれば、
滅多に聴けなかったHCJBやらバチカン放送、ひいてはR.A.E.の受信も可能になるんじゃないか?そんな夢を見させてくれた。
だが中坊だった親のすねかじりにとっては、ラジオ本体でもようやく手に入れた・・・状態なのに、その上これら補器類の購入は非現実的で妄想を膨らませる以外に術はなかったのである。
正月のお年玉を貯めて・・・なんて手段もあったが、それでも実際には手が届くものではなく悔しい思いをした。
一方で、短波放送だけでなく中波帯リスナー向けにループアンテナとアンプのセットを売り出していた。ラジオの製作誌面では、
「謎のトライアングルアンテナ」と銘打ってパッシブ式中波受信用同調ループの自作を進言された。
中波受信用アンテナ = ループアンテナを広く知らしめた功績は大きい。
販売時期のズレがあるが、ミズホ通信製のアンテナカップラー(上)と周波数カウンター付マーカー発振器。
マーカー信号の周波数をカウンターで確認できる。クーガNo.7などアナログチューニングのラジオでも、マーカー信号に合わせるだけで受信したい周波数にセットが可能。
プロシードに迫る?デジタルカウンター付ラジオに変身させられる優れものだ。
スイッチを切り換えるだけで、発振回路の周波数を確認できるカウンターにもなった。
私の持っていたBCLラジオ東芝サウンド750GS(\21800)よりも高価だった。
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