BCLブーム当時に憧れた受信機たち。まだ私は小学6年で、喉から手が出るほど欲しくても「無い袖は振れぬ」状態。クーガ115が欲しい!と言ったところで
「おおそうか、じゃあ買ってやろう」とはならない現実。私だけでなく多くのラジオ小僧がそうだったであろう。
40余年が経ち、ネットオークションでようやく手に入れた憧れの受信機たち。
しかしそのどれもが使い古されたもの。大切に扱われたものもあれば、幾度かの転売を経た出処不明ものもある。身の回りを見渡しても、40余年を超えて手元に残っているものは殆どない。
家電品なら尚更だ。
懐古趣味のオブジェとして眺めるだけなら不動品でも構わないのだが、元ラヂヲ小僧としては「動いてナンボ」の気持ちは捨てきれない。その高性能の片鱗を確かめたい願望から博打感覚で
動作保証のないジャンク品を落札するのである。修理を施し甦った受信機で放送を聴けた時には感動も一入だ。
中坊の頃より電子工作に手を染めた経験から、落札・入手した受信機たちには「下手の横好き感覚」でメインテナンスやリペアを施している。
こう書くとカッコよく聞こえるのだが、直すつもりが「ぶっ壊した」ことも。趣味の範疇とはいえ、それなりに使える状態とするには素人と云えども最低限の知識や道具・測定器が必要。
落札したFR-101を初めてメンテしようと試みた時には、測定器と呼べるものはアナログテスターしか持っていない状態。これではせいぜい通電状態や電圧、導通チェック程度にしかならなかった。
FR-101を真面目にメンテ・リペアするのであれば、SSG、オシロスコープ、測定用周波数カウンター、高周波ミリバル、スイープジェネレータが必要になる。
生業でないのであれば、これらを新品で揃えるには無理がある。FR-101の落札額を超える投資が必要となったが、これらの測定器もネットオークションで揃えることになった。
校正されていないので精度は怪しいが、適当に作業をするよりはマシ。現在では nanoVNA といった安価で高機能な小型デバイスも容易に入手出来る。
レシーバー(ラジオ)に限って云えば「放置状態にしない」ことが、何よりのメインテナンスだと私は思ってゐる。使用を前提に考えればバンド切り換えやボリウム、チューニングノブには必ず触れる。
スイッチ接点が動くことで酸化膜によるガリは予防出来よう。毎日10分でいいからRXを電源ONにするのが、メンテの早道。
1週間に一度は動作チェックを兼ねて各スイッチを動かしてみるのもよい。トラブルも軽微なうちに見つけられる。
湿気を含み無用な短絡などを起こさないためにも2、3年に一度は筐体内部の埃などエアダスターや刷毛等で取り除く。
正常に動作しなくなったものに関しては、修理書(テクニカルガイド、サービスマニュアルなど)の手順に従い確認作業を行う。
修理書には動作時の各部電圧や電流値が明記されているので、テスターでチェックすると故障個所の特定などに有用となる。
作業内容は千差万別となるので他に譲ることにし、ここでは割愛させていただく。
リペアする際、選択肢として本来よりも高機能なパーツに交換したり、新たな機能を付加するなどのカスタマイズも一考。ヴィンテージRXゆえにオリジナル状態を維持するのも王道だが、
使い勝手優先で考えた場合には、カスタマイズも悪い選択ではないと私は考えてゐる。
実際の作業の様子はこちら →
昔ラヂヲ小僧の怪しい修理部屋
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