照明用麦球をLEDに交換する



Sメータが暗すぎて実用にならない

 落札したYAESU FR-101。製造から30年以上経過し、シグナルメータの照明がとても暗くなっていた。電源ON時は常時点灯のため経年劣化は避けられない事象で、 これの交換は必須となる。複数台のFR-101を落札したが、落札時すでに球切れとなっていたものも。また、受信時にはAFアンプの消費電流が多いためか (驚くほど大音量で鳴る。特にAMモード受信時)照明が音声に合わせて明暗する。この現象を防ぐのに球を交換するのであればLEDの選択も外せない。 消費電流が低くなり、最近では電球色のLEDも一般的である。今回の作業ではφ3㎜の電球色LEDへ交換してみた。




FR-101デジタル機のSメータがとても暗いのがわかる。
下のFR-101アナログ機のSメータはすでに電球色LEDに交換済み。その差は歴然。





交換後の画像。視認性は大幅アップ!


作業内容について

 交換は容易ではないので、時間に余裕をもって作業する必要がある。何故このような構成にしたのか定かでないが、メーターASSYを全分解しないと球交換出来ない。 何よりも、フロントパネルを外さないとメーターASSY自体がシャーシから取り外せない。球交換だけを考えるのなら、整備性は最悪と云える。

 作業としては、ケースからシャーシを取り出す > ダイヤルやツマミを全て取り外す > フロントパネルを取り外す > FMユニット基板を外す > FIX CH 水晶基板を外す > メータASSYへのワイヤを取り外す といった手順を経て、ようやくメーターASSYをシャーシから取り外し可能になる。

 フロントパネルを外すには、一部のVRやロータリーSWが ナットで固定されているので、サイズの異なるディープソケットレンチも必要。この分解作業だけでも骨が折れる。



サブパネルが剥き出しにならないと、SメータASSYは取り外せない。


 サブシャーシ剥き出し状態にしたあと、メータASSYに繋がるワイヤハーネスを取り外さないと、メータの分離が出来ない。 大小4つのターミナルがあり、そのうち小さなものがメータ照明電球用、大きなものがメーター指針ドライブ用となる。このナットを回す作業は困難を極める。 固着しており、無理に回すとナットをナメてしまったり(特に小さなターミナル)、ターミナルを固定しているストッパ(大きなナット側)が壊れてしまい、空回り状態に陥る。 大きなターミナルはダブルナットとなっているので、丁寧にASSY側のナットが回らないようラジペンなどで挟んで、外側のナットを回したい。しかし実際にはスペースが狭いので、 作業を実現可能にする工具を事前に吟味しておく必要があろう。(私はこのストッパを壊してしまった)



デジタルカウンターユニットがあるので、よりスペースが狭くなっている。



FIX CH発振基板を固定するビスを外し、基板をズラさないとメーターASSYが外せない。
本当ならば手前のFM DET基板もコネクタから抜く必要があるが、横着をしてそのままで作業。
(真似しないでください)




メーターASSYが手前に抜ければ作業は楽なのだが、内側に抜かなければならない。
その後、ASSYの分解作業に移る。





照明用麦球とハーネス。ASSYを収めるケースはプラスチック製で華奢である。




メーター針の駆動部。磁力が強いので作業には細心の注意が必要。
一線を越えるとドライバーやペンチが一瞬で引き寄せられる。
メーター針が剥き出しなので、破損しないように。簡単に変形、折れてしまう。




メーターカバー。下部の縁に装飾用アルミテープを貼ってある。
LEDの装着状態を見れば分かるが、照射方向がケースの外へ向いているため
テープで反射させて光を内側へ戻してやる。



LEDでは電極指定があるため、+側のハーネスを着色した。
(画像では麦球が繋がっている状態)




ケースは肉厚が薄く、強度が足りず熱にも非常に弱い。
ターミナルのナットを外す際、ストッパを舐めてしまい緩めることが出来なかった。



ターミナルをハンダゴテで熱し埋め込み、ストッパ代わりとした。



ハーネスはターミナルビスに直接ハンダ付けされている。



ターミナルビスの拡大画像。回転しないよう突起がある。
ナット装着時には、CRCを塗布した。



LED交換後。電極を間違えぬよう色の異なる絶縁チューブを被せた。





LEDとハーネスをケースに仮固定。ここへ 摺動部位に触れぬようメーター駆動部を戻す。
この作業が一番の難関となる。



駆動部とハーネスの干渉に気を付けて組み戻す。
取り回しがマズいと駆動部が収まってくれない。
私の場合、この作業だけで20分を要した。



カバーを取り付ける。縁にアルミテープを貼らないと、LEDの光はケースの両隅を照らすだけで
逃げてしまい、期待するほど明るくならない。




LEDが壊れてしまうのでランプ点灯用ハーネスに抵抗を介してやる。(デフォルトの電圧は約14V)
ショート防止に熱収縮チューブを被せてある。



フロントパネルや各ノブを元に戻す。2軸VRのアウターノブを一番最初に装着する。




作業完了。メーターの明るさは以前と段違い。

 


 

失敗談

 初めてFR-101のSメーターランプ切れの修理を行った時のこと。絶縁チューブを被せた状態でLEDの脚を長く残し、ラジペンで捻って塩梅良く形成してLEDを配置しようと試みた。しかしこの状態でのLEDリードは硬すぎた。手に力が入り過ぎ、勢い余ってメーター摺動部を直撃。指針は折れ、駆動部自体も壊れた。 運良くネットオークションでSメーターのみの出品があったのでこれを落札し事なきを得たが・・・。失敗は成功の母と云う諺が改めて身に染みた。

 以後の作業で失敗の教訓が生かされているのは言うまでもない。問題なく点灯しているのであれば無理に交換する必要は無いと断言しておく。 初めての交換作業の際は、メーターをダメにする覚悟を持って慎重に挑んでいただきたい。(私が不器用なせいもあるが)



 初めてLED交換した作業時の画像。この後、悲劇が訪れることになろうとは・・・ (2011年2月28日)


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