中波用トラップ回路というとBC帯域を排除する感があるが、今回製作したのはBC帯域内においてピンポイントで抑制したい周波数の連続可変を実現するもの。
国内中波民放局がターゲットとするも驚かされたのはその混信状況。同一周波数で多局が傍受できるのは致し方ないとしても、
目的周波数の近接局、またはローカル中継局によるオーバーライド(被り込み)も多々発生。目的局の信号が微弱だとすれば尚更、
それ以外の信号は抑制、または排除するための手段を講じる必要がある。
何度かの試作ののち、トラップ回路の基本構成を決定。まず第一にメインルートへトロイダルコアによるインダクタとバリコンを組み合わせ、各々デバイスの接続を並列・直列と変更することにより「ノッチフィルタ」「パスフィルタ」として動作させる。このトラップ回路に追加する形で、直列接続のLCフィルタをホット・コールド間に配し、「2nd Notch Filter」として稼働させる。このLCフィルタをメイントラップへ接続する際、前置・後置と切り替えることでその特性を変化させることが可能。後置へ接続した場合、その特性は前置接続よりも急峻になる。
複数のLCフィルタを通すため挿入損失は大きく、目的放送局の信号まで減衰させては意味が無い。
これを相殺するべく入力トップにFET4石で構成したパラレルGGアンプを配置。
出力側にGGアンプを置くよりもトップに配した方がS/N比は有利。
GGアンプにも両面銅箔基板を用いた「ベタV」「ベタアース」方式を採用。信号振幅が大きくなっても飽和しないよう電源電圧は9Vとした。
入出力にはフェライトビーズによるトランスを介して接続している。大出力局受信時には、バイパスモードを用意。トラップユニットのスルー時は電磁リレーで入力信号を出力端子へリダイレクト、極力減衰を防いでいる。GGアンプもバイパス時には電源を遮断して動作停止。
GG amp / Ver. 1.02
2SK125を4個、パラレルに配したGGアンプ。画像は初期段階の試作。
トラップユニットに実装したGGアンプは入力トランスをFT-43からFB-801へ変更。
トラップユニットに使用したポリバリコン2種。
左は FM/AM用4連バリコン。AM部は290pF x 2連となっている。
右は ミズホ通信のVC-340AM。340pF x 2連。
トラップユニット内部の様子。
インダクタが2段構成になっている。
GGアンプをサンドイッチする形で配している。
磁束漏れを起こしにくいトロイダルコアだから可能な配置。
RETURN