RADIO & RECIEVER for BCL

45年の時を超え、もう一度BCLの世界へ

ブームを牽引した憧れの受信機

たかがラジオ、されどラジオ

 BCLブームのけん引力は一体何だったのか?

 ブーム黎明期にはBCLラジオの原型とも呼べる機種がいくつか存在していたようだが、BCLラジオというひな型を確立したのは 間違いなくソニー・スカイセンサー5800だと私は思っている。2万円を切る価格帯で、短波帯を3分割し3.8 〜 28MHzの広帯域カバー。 減速機構を有した選局ダイヤルにSSBを復調するBFO、外部アンテナ端子などを装備。BCL入門機にして過不足のない機能。 ベストセラーになったのも頷ける。

 先鞭をつけたソニーを後追いする形で、松下電器はクーガシリーズをリリースし対峙する。吠えろクーガ、クーガNo.7 といった BCLに特化していないモデルもあったが、ジャイロアンテナをトレードマークに高性能ラジオブラントを立ち上げた。 クーガ115・118はフラッグシップモデルで、530kHz〜30MHzを受信可能なゼネラルカヴァレッジ仕様。 SWローバンドを受信出来ないスカイセンサーと差別化し、その優位性を謳ったカタログの宣伝文句にラジオ小僧は酔いしれた。

 東芝はサウンド750GSをBCLラジオとしてリリースしたが、スプレッド式チューニングがあまりにマニアックすぎたのか後にトライエックス1600を発売。 ダイヤルノブに半固定されたリング板に周波数が記されており、ニードルをその周波数に合わせるだけで目的の放送局が受信出来るシンプルな操作に変更された。 実際の受信周波数とダイヤル板のズレを校正するため1MHzマーカーが装備された。 のちのスカイセンサー5900やクーガ2200にも装備されたマーカー回路(東芝はCAL発振装置と呼んだ)を搭載したトライエックス1600だったが、 BCLラジオとしてパッケージングの詰めが甘かったため、ソニーや松下の後塵を浴びることになった。

現在、所有しているBCLラジオ

・クーガ No.7
・クーガ115(RF-1150)
・クーガ118&118D (RF-1180 & 1188)
・クーガ101
・クーガ2200
・ICF-2001D
・ICF-SW7600GR



クーガNo.7 / 115 とミズホ・アンテナカップラー & デジタルカウンター付マーカー。




クーガ118D




ソニー ICF-2001D、クーガ101




クーガ2200 & アンテナカップラー、クーガ118(後期型)



 ブーム当時、まだ小学生でとてもじゃないが手に入れられなかったクーガシリーズをネットオークションにて収集。 ジャンク扱いで音の出ないものもあったが、パーツ交換や調整を経てそれなりに使える状態を保っている。 バックライトの麦球はかなり照度が落ちており、いくつかのモデルはLEDに交換した。 クーガ2200以外は、周波数の読み取りに難儀をする古き良き時代の手探りチューニング。 選局操作を比べると、2200が如何にエポックメイキングなモデルであったかを今更ながら痛感する。

 対してソニーラジオは、名実ともにデジタル機。PLLシンセサイザー方式によるチューニングと受信周波数のデジタル表示、 さらに周波数だけでなく状態(ファンクション)までもメモリーバンクに記憶させることが可能。クーガシリーズ(アナログ式)と比べると 隔世の感は明らか。ポータブルラジオがこれほどの機能を持つことになろうとは、70年代のブーム時には想像もつかないことだ。


憧れの通信機型受信機

 ブーム当時、私の憧れだったレシーバーといえばやはり八重洲無線のFR-101だ。クーガ115さえ”買ってもらえない”環境下で、 10万円超えの受信機など、文字通り高嶺(高値)の花でフルオプションのデジタル表示モデルは神々しく感じたものだ。 何をどう操作すればよいのやら理解の出来ないツマミが並び、そのメカニカル感は比類なきオーラを放っていた。

 2009年、何の因果かFR-101を入手するに至り、BCL復活組のキッカケとメインテナンスの知識を授かることになり、 それまでは無縁であったSSGやオシロスコープ、測定用周波数カウンタ、ミリバルなどを買い揃えた。 これにより、クーガシリーズのレストアも確実に行うことが出来るようになったのは云うまでもない。

メインテナンス・バックヤード





八重洲無線 FR/FL-101
当時の八重洲無線ラインナップの最高峰、セパレート式の送受信機。
右側が受信機のFR-101、上段はデジタルカウンター付 101DD、下段がアナログ式。局発クリスタルはフル実装で
放送バンドも受信可能(除く49mb)。
左側は送信機のFL-101。上段が前期型、下段が後期型。RFスピーチプロセッサ回路が変更されている。




八重洲無線 FRG-7
2012年12月、FRG-7(後期型)を入手。中波帯を受信可能でスピーカーがフロントパネルに配されるラジオライクな受信機。 誤差はあるものの、中波帯も10kHz直読。しなしながらバーアンテナ等を内蔵しておらず、本格的なアンテナを接続しないと受信出来ない。 局発周波数のドリフトをキャンセルするワードレーループ式で周波数の安定度は良好。透過照明の麦球はすべてLEDに交換。




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