私が高校生になった頃、どうしても欲しいエレクトリックギターがあった。それが米フェンダー社のストラトキャスターである。 その理由やギターを始めたキッカケは割愛させていただく。プロギタリストが使っているというミーハーな理由で憧れを抱いていたのだが、 当時の為替レートも手伝って、ブランニューのストラトの販売価格は240,000円。昨日今日ギターを弾き始めた高校生が持つにはあまりにも高額で手が届かなかった。 アマチュアプレイヤーが手にするには「猫に小判」「豚に真珠」「宝の持ち腐れ」に違いないのだが。
当時オールドストラトといえば、'54以降60年代中期モデルを指していた。この頃すでに「オールドギターは音も質も良い」と言われ、雑誌にもそう書かれていたものである。これにフォーカスを当て「完コピ」したのが、東海楽器のリボーン・オールドシリーズ。グレコやアリアプロといった大御所を上回る拘りは、 アマチュアギタリストを虜にした。レスポールなど他メーカーが真似出来ない工法で作られ、爆発的な人気を誇った。
また当時の東海楽器のカタログは手書きでびっしりと各モデルの「うんちく」が綴られ、これに洗脳?され東海楽器信者になった者も多い。私もその一人である。 結果としてストラトオールドモデルのフラッグシップ、ST-80GS を購入するに至った。それ以前はフレッシャー製のストラトモデルを所有していたが、 引くのが嫌になるほどチューニング狂いが酷く、(特にトレモロビブラートを使った後)こういった事のないギターを欲していた。
アルバイトに明け暮れて購入した甲斐があり、入手したギターは素晴らしいの一言で、まさにプロクオリティ。ロックギター1年生にはもったいないほどであった。
しかしギターにばかり気を取られ、悲しいかなエレキギターに必須のギターアンプやエフェクターは持っていなかった。文化祭などでは友人に借りて間に合わせる有様で、恥ずかしい限りである。ギターの所有欲が優先され、演奏のことは二の次だったのだろう。
とはいえ、ギター&ケースで90000円越えでは予算をそっちへ回せなかったのが実際のところ。振り返ってみれば贅沢な遊びをしていたものだ。
ネックエンドの80打刻。80グレード、Vシェイプネックの証。
キャパシタは、2017年にブラックビューティへ交換。容量は473のままだ。
104にすると、かなりくぐもった音になるので避けた。新品ではなくオールド品。
学生時代にキャビティやピックガード裏にはアルミ箔を貼り、ノイズ対策をしていた。
東海楽器製のストラト専用ケース。レスポールモデルはケースとセット販売だったが、
何故かストラトは別売り。ピンクの内張は衝撃的だった。ギターのホールド感はやや甘く
持ち運ぶときのウエイトバランスが悪くてヘッド側が沈みがちになるのは残念。
東海楽器製を示す、ブラス製ネームタグ。
高校1年の冬(1980年1月)に購入したこのギターは今も手元にあり、時々引っ張り出して弾いている。
当時のカタログに「キミの手でオールドストラトを生み出して欲しい」みたいな文言があった。
ボリュームツマミやピックアップカバーは、あえて経年劣化で変色する素材を使っているという。
ジャパン・ヴィンテージとして持て囃される初期の東海楽器製ギターだが、生産ラインではパートの
「おばさん」たちも組み立てていたという。マスプロダクトなのだが、それでも他ブランドよりも
高品位な仕上がりだったのは間違いのないところ。40年以上経つが、このギターのトラスロッドは
一度も回したことが無い。ネックのメイプル材に良いものを使った証だろう。