ブーム当時ならいざ知らず、中波BC帯受信を実現するためのコイル(バーアンテナ、並4コイル)やバリコンなどは絶滅危惧種扱いで、
既存のデバイスで実現すると極めて限られた組み合わせしかない。
そんな中、ネットサーチをしていて堀場啓二氏の「中波用プリセレクタの製作」なる記事にヒット。
このサイトを知ることで、トロイダルコアによるインダクタ製作に至った。これによりバリコン容量に合わせた
インダクタンス値を得ることが出来、製作の自由度が大きく広がった。
プリセレクタの構成は堀場氏の製作記事を基に、若干のモディファイを加えて設計した。主な変更点は、バイパスモードの設定、出力アンプはゲインを持たせずフラットアンプとし、バイパスモード時に共振回路の挿入損失分のゲインを得る、
中波BC帯に特化、トラッキング調整用トリマは後段のみ、トリマ容量はローバンド用に20pF、ハイバンド用に10pFとした。
電磁リレーを用い、電源オフ時には入力信号を出力へリダイレクトする・・・など。
詳細に至っては、堀場氏の製作記事を参照されたし。
有益な資料を提示してくださった氏に、この場を借りてお礼申し上げる。
製作について困難だったのがトロイダルコアの入手で、特にアミドン社のカーボニル鉄 T-184 #1材(青)は
名古屋・大須電脳街で入手できず、最終的にはトロイダルコアを取り扱う会社にお願いして、直接販売していただいた。
この#1材が入手出来なければ、ローバンド時の性能が半減すると云っても過言ではない。
機構的には、主同調バリコンには減速メカを用いている。バーニアダイヤルも考えたが、操作性を優先してヤエスFT-101Zなどのプリセレクタに採用されている5:1の減速メカ付きのシャフトを装着。ダイヤルノブは TRIO TS-520 用を装着。
同調時の操作性はかなり良い。
LC共振回路は、インダクタンス値とキャパシタンス値から共振周波数を求めるのだが、ネット上にこれらの計算を自動的に
行ってくれるありがたいサイトが存在している。L値やC値の変更時もワンクリックで解が得られるのは非常に便利だ。
トロイダルコアのインダクタンス値決定もなかなか面倒な感があったが、巻数の2乗×AL値 の式にはめると容易く求まる。
難しいのはコアへ均等間隔で線材を巻く作業。70回越えにもなるとコアを通す線材の長さも4m以上になるので、絡まないよう作業を進めるのは至難の業となる。
線材には0.26mmのラッピングワイヤ(FTFE線)を用いた。
Appendix
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プリセレクタ製作・番外編
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プリセレクタ内部の様子
トロイダルコア4個による、並列2段共振回路の効果は想像以上。
青がローバンド用、赤がハイバンド用。
トラッキング調整用トリマコンデンサ。
赤がローバンド用20pF、白がハイバンド用10pF。
SSGを使って特性を揃えることが必須。エアバリコンは365pF 2連。
フラットアンプ(左)と切替リレー。
アンプは 2SK544 によるソース接地増幅回路。
ソース抵抗を調整することで負荷時のフラットゲインを目指している。
リレーは OMRON G5V-2(5V)を採用。
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