レシーバの感度が低い時は、アンテナと並んでまず考えるのが高周波増幅回路、RFアンプの追加。
アンテナからの信号を強制的に増幅するため容易にシグナルレベルを上げることが可能なのだが、それは同時にノイズを増やす事に繋がる。一方で中波BC帯では近隣局や夜間の伝播状況次第では過大入力になることも考えられ歪みの少ない増幅も望まれる。アンプのon/offや、VRを介した簡易的なゲインコントロールでは対応できない。
そこで先に製作したプリセレクターと組み合わせること、増幅回路様式の異なるアンプを切り替えることで受信状況に合わせた幅広い対応が出来ると判断、これに基づき設計した。
RFアンプは試作を重ねてみたが満足の得られる結果が得られず、ミズホ通信の遺産とも言うべき、ループアンテナシリーズ
UZ-5、DX-77 に使われていたアンプ回路を流用させていただいた。変更点として入出力のインピーダンス変換を考え、
FB-801を用いたトランスを配している。これによりデフォルト状態よりも聴感上ではノイズが抑えられている。
さらにノイズ対策と安定動作を兼ねて回路基板はガラスエポキシ両面銅箔仕様を用い、表裏をそれぞれ全面+V、
−V として基板自体をパスコン化させている。中波帯とはいえ高周波であることに変わりはなく、充分に効果が得られる。カットした駒基板にパーツを配して片面実装としている。もうひとつ安定動作の実現として、RFアースを+V側へ落としている。FETのソース抵抗はGND(−V)へ落とすが、ソースからのパスコンは+Vへ返している。(このパスコンは省略可)
基板全面が「ベタV」「ベタアース」となることで、電源電圧的にも動作電流的にも圧倒的に安定し、不要なノイズの低減にも寄与。デカップリング用パーツや配線を省略できるメリットもある。
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アンプ切替にはロータリースイッチを採用。信号系の切替だけでなく、使用しないアンプへの電源供給を断つため
回路同士の相互干渉はない。スルーポジションも用意してあり、大出力局の受信にも対応。
受信状況により混信局の信号を抑制する場合やローカル局対策として、パッシブ式アッテネータを入力トップに配している。回路形式や定数は YAESU FR-101 のものをそのまま模倣した。
RFamp A
3SK73 & 2SK192A のCR直結2段増幅回路。ミズホ通信ループアンテナ・UZ-5 に付属のアンプ回路をベースにモディファイ。
VRによるRFゲインコントロールが可能。低ノイズ増幅を望む場合の使用を前提としている。パーツ実装面が+Vとなる。
RFamp B
2SK439Eによる、一般的なソース接地自己バイアス増幅回路をパラレルにすることで、素子ひとつあたりの増幅率を抑えながら歪の少ない高利得アンプとした。こちらもパーツ実装面が+Vになっている。
セレクタブルアンプユニット内部。左側がアンプ A。
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