麹坂隧道を抜けた田口鉄道は集落を避けるべく、高い位置を山の丘陵に沿うよう玖老勢へ向かってゆっくりと下っていく。一時期は「サイクリングロード」やら 「仲良し小道」「電車みち」などと呼ばれ、それら呼称の看板が立てられていたが今では見る影もない。そこが田口線跡だとは言われなければわからない人も増えてきたと云ふ。 人通りもほとんどないやうで、場所によっては路面のアスファルトが苔生しており今の軌道跡がどういう扱いを受けているのかを物語ってゐる。
玖老勢の集落を見下ろせる場所まで来ると、その下り勾配はややきつくなり、玖老勢川を超える玖老勢橋梁を過ぎると駅構内へと差し掛かる合図となる。当時の写真を見る限り
貨物引き込み線もあったやうで、見合った敷地面積があったと思われるが今ではそこそこ立ち並ぶ住宅地に姿を変へており、主たる軌道跡以外は玖老勢駅を思わせる遺構はほとんど見受けられない。宅地との境界に、豊橋鉄道時代のマークが入ったコンクリート製の境界柱が2本残っているがそれが駅の名残と云へるだらう。
今も残る2本の境界柱。豊鉄マークが当時を偲ばせる。
架線柱の基台だらうか?
<追記>:消防団詰め所があった頃、建っていた塔の基台らしい。(詳細不明)
撮影日:2025年6月1日
地元民の古老から「このあたりにホームがあった」という話は聞くことが出来たが、詳細について語れる人は少なくなったと云ふ。駅跡の名残として消防団詰め所となっている、、、と先達諸氏のレポートをネット上で見ることが出来るが、2025年の今ではそれも跡形なく消えてしまった。
玖老勢駅へ向かう軌道跡目印となる県道32号沿いの大栗平バス停。
撮影日:2025年6月1日
バス停留所裏の藪の向こうに麹坂隧道から続く軌道跡がある。
見辛くなってしまったが、軽トラの後ろ側に玖老勢へと続く軌道跡。県道32号は集落へ向かうため下っていく。
以前「電車みち」と呼ばれた軌道跡。自動車侵入防止用ポールが設置してある。
切り通しの集落側には石積みが残ってゐる。撮影方向は鳳来寺方面。
わずかだが山の斜面より内側を通るため深い切り通しと成っている。撮影方向は玖老勢方面。
軌道跡から眺める玖老勢の集落。随分高い位置を田口線が走っていたのが分かる。
軌道跡は玖老勢橋梁を渡る手前で、林道「野口線」を横切る。
玖老勢川を渡る玖老勢橋梁に差し掛かる。
橋梁より玖老勢川を望む。当時の車窓にはどんな景色が広がっていたのだらうか?
撮影日:2025年6月1日
玖老勢橋梁を下から望む。撮影日:2025年4月7日
橋梁を超えると玖老勢駅構内へと進んでいったであらう。主たる軌道は直進していく。
軌道跡左側にホームがあり、画像手前の分岐?はそのままホームの左側を通っていたやうだ。
(植木の位置がホームだったのではと推測する)当時、路盤の高さは今とは異なるらしい。
ホームに平行して西側に駅舎が建っており、軌道は分岐して本線に戻る(田口方面)のと、貨物用側線(直進)があった。
現在の様相からは想像できなひ。当時の敷地は民家に変貌してゐる。
撮影日:2025年6月1日
往年の玖老勢駅ホーム。朝の通勤・通学時間のやうに見受けられる。
撮影時は雨天だった様子。背景から画像左側が三河大石方面ではないかと推測する。
玖老勢駅ホームがあったと思われる場所。ガードパイプの向こう側を軌道が通っている。
以前は消防団の詰め所(倉庫)?があったという。
撮影日:2025年6月1日
ホームからの分岐線が左側より合流し、軌道跡は現・県道32号へ向かっていく。
撮影日:2025年4月7日
サイト:田口線の残影より引用させていただきました
おそらくホーム上から撮影したのではないかと推測します。
左側直進は貨物用側線、右へ向かう軌道2つは合流して三河大石へ向かっていると思われ。
先の画像の同位置付近ではないかと・・・。
玖老勢駅より続く軌道跡。坂を下って明るくなった道路が県道32号。
このアングルだと、32号が当時の軌道を彷彿とさせる。
撮影日:2025年4月7日
現・県道32号から玖老勢駅へ向かう軌道跡を望む。
撮影日:2025年4月7日
大石と呼ばれるようになった由来である、巨石が道路脇に鎮座してゐる。
田口線において数少ない踏切が設置されていたのもここである。
撮影日:2025年3月30日
県道32号を玖老勢から三河海老方面へ進んでいくと、右側に鳳来大石バス停がある。
田口線<三河大石停留所>もほぼこの位置にあったと云われてゐる。待合所建物は当時の雰囲気を踏襲。
撮影日:2025年4月7日
往年の三河大石停留所。現在の県道32号はこの頃に比べてホームの分だけ嵩上げされていると云ふ。
ホームより続く待合所向こうの坂道は、「鳳来大石バス停」の画像にも写っているのがお分かりだろうか?
現在のバス停を望む景色は、この当時を彷彿とさせる。
<画像引用元:田口線の残影>
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